研究ノート

自己投資はいつ、自己投資になるのか

「これは自己投資だから」

何かを買うとき、たまにそう考える。

仕事で使うものだったり、本だったり、パソコンだったり。

自分のためになるものだから、浪費じゃない。
自己投資だ。

まあ、よくある話だと思う。

最近昔のメモを見返したとき、こんなことを書いていた。

目次
(※クリックで開閉します)
  1. 「買った俺、ありがとう」
  2. 買った瞬間は、ただ金を使っただけ
  3. 「自己投資」は便利な言葉だ
  4. でも、先に買うことにも意味はある
  5. 自己投資か浪費かは、未来の自分が決める
  6. 「何ができるか」より「何をするようになるか」
  7. 振り返らないと、たぶん気づかない
  8. 仮説

「買った俺、ありがとう」

「スマートウォッチを買った過去の自分ありがとう。時間管理と自分管理ができるようになった。」

スマートウォッチに感謝しているわけじゃない。買った自分に感謝している。

実際、買った当時に「これは人生を変えるぞ」なんて思っていたわけでもない。

使わなくなる可能性だって普通にあった。

でも使い続けた。

時間を意識するようになったし、自分の行動を見るようにもなった。

今ではもう普通に使っている。

で、しばらく経って振り返ったら、

「買った俺、ありがとう」

になっていた。

買った瞬間は、ただ金を使っただけ

1万円の本を買う。

30万円のパソコンを買う。

その瞬間に起きているのは、お金を払って物を手に入れたということだけだ。

それで仕事が速くなるかもしれない。

何か新しいことを始めるかもしれない。

生活が変わるかもしれない。

でも、まだ何も起きてない。

そう考えると、まだただの支出だ。

「自己投資」は便利な言葉だ

新しいパソコン。

「仕事で使うから自己投資」

本。

「勉強になるから自己投資」

まあ、全部言える。

便利だ。

でも、「使える」と「使った」は違う。

自己投資という言葉を使うと、買っただけでちょっと前に進んだ感じがする分、結構危ない。

でも、先に買うことにも意味はある

じゃあ何も買わないほうがいいのかというと、それも違う。

今回のスマートウォッチは、買ったから使った。

「せっかく買ったんだから使おう」

これは間違いなくあったと思う。

サンクコストという言葉がある。

すでに使ってしまって戻ってこないお金や時間のこと。

「ここまで金を使ったんだからやめられない」

みたいな、だいたい悪い意味で出てくる。

でも、

「金払ったんだから使おう」

も同じところから来ている気がする。

それにスマートウォッチは毎日腕にある。

時間を管理しようと思った過去の自分の意思が、物としてずっと残っている。

意志はなくなるけど、物は残る。

昨日の自分が、今日の自分が動きやすいように環境を作っておく。

これが自己投資という事になのかもしれない。

自己投資か浪費かは、未来の自分が決める

仕事道具だから自己投資。

ゲームだから浪費。

本だから自己投資。

旅行だから浪費。

たぶん、そんな単純じゃない。

そのあと自分がどうなったか。

何かをするようになったのか。

何かが変わったのか。

結局そこなんだと思う。

だから、

自己投資か浪費かは、買った瞬間にはまだ決まっていない。

未来の自分が決める。

そう考えると、

「これは自己投資か?」

という問いもちょっと違う。

それより、

「これを買ったら、俺は何をするようになるんだろう?」

こっちのほうがいい。

「何ができるか」より「何をするようになるか」

新しいパソコンを買えば、動画編集ができる。

スマートウォッチを買えば、健康管理ができる。

本を買えば、知識が増える。

できる。

できるんだけど。

実際にやるかは別の話だ。

スマートウォッチを買ったことで、俺は自分を管理できるようになった。

記録を見るようになった。

自分の行動を意識するようになった。

だから今になって、

「買った俺、ありがとう」

になっている。

物を買うとき、

「これで何ができる?」

じゃなくて、

「これがあったら、俺は何をするようになる?」

と考える。

似ているけど、結構違う。

振り返らないと、たぶん気づかない

そしてこれ。今回これに気づいたのも、メモを見返したからだ。

スマートウォッチを使う生活なんて、もう普通になっている。

時間を見ることも、記録を見ることも、別に特別なことじゃない。

だから普段は、

「スマートウォッチのおかげで変わったな」

なんて考えない。

慣れてしまう。

一年前の自分と比べて、初めて気づく。

「あのときの選択、ちゃんと今につながってるな」

自己投資って、何かが変わって、それにあとから気づく。

そういうものなのかもしれない。

仮説

自己投資とは「自分のためになる物を買うこと」ではなく、「未来の自分の行動が変わる環境を、今の自分が先に作っておくこと」なんじゃないか。

そして、それが本当に自己投資だったかは、そのときにはわからない。

未来の自分が決める。

だから次に何かを買おうとしたら

ちょっとだけ考えてみる。

「これを買った一年後、俺は今の自分に『ありがとう』と言っているだろうか。」

まあ、それでも欲しかったら買うんだろうけど。


3310Lab 研究ノート No.013