Web哲学

人は何を基準に満足を感じるのか

最近、キーボード選びで少し悩んでいた。

US配列とJIS配列。
有線と無線。
軽いキーボードと、少し重いキーボード。

最初は「どれが一番使いやすいのか」という単純な話だと思っていた。

しかし実際に使い比べ、タイピングゲームで数字を取り、何日か使い続けているうちに、違う疑問が浮かんできた。

人は、本当に性能だけで満足を感じているのだろうか。


目次
(※クリックで開閉します)
  1. 数字だけを見ると答えは出ていた
  2. 気になっていたのは性能ではなかった
  3. でも、それも慣れてしまう
  4. 満足とは何なのか
  5. 仮説

数字だけを見ると答えは出ていた

今回比較したキーボードでは、軽いパンタグラフの方がタイピング速度は速かった。

一方で、少し重く、押し込む感覚のあるキーボードは速度では少し劣る。

もし性能だけを見るなら、答えは簡単だ。

「速く打てる方を選べばいい。」

ところが、自分の気持ちはそうならなかった。


気になっていたのは性能ではなかった

使い比べていると、何度も口にしていた言葉がある。

「安心感」

キーを押したときに返ってくる感覚。

ちゃんと入力されたという手応え。

打鍵音。

押し込んだ感覚。

こうしたものがあると、数字では説明できない心地よさがあった。

逆に、性能は高くても、軽く反応するキーボードには少しだけ不安を感じることもあった。


でも、それも慣れてしまう

さらに面白かったのは、人はすぐに慣れるということだった。

最初は違和感があったキーボードでも、数時間使えば普通に打てる。

逆のキーボードに戻っても、またすぐ慣れる。

そう考えると、

「このキーボードだから仕事が速くなる」

という差は、自分の場合は思っていたより小さいのかもしれない。

コーディングでは、タイピングよりも考えている時間の方が長いからだ。


満足とは何なのか

ここで疑問が変わった。

私はキーボードを選んでいたつもりだった。

でも本当は、

「自分は何に満足を感じるのか」

を探していたのではないか。

速さなのか。

安心感なのか。

打鍵感なのか。

それとも、ただ「好き」という感覚なのか。


仮説

今回の検証を通して、一つの仮説が生まれた。

人は、合理的に選んでいるつもりでも、「選んだ理由」を後から見つけているのかもしれない。

性能や数字は判断材料の一つではある。

しかし最後に選ぶ理由は、「安心できる」「気持ちいい」「なんとなく好き」といった感覚であることが多い。

そして、その感覚に後から理由を付けて、「だからこれを選んだ」と説明しているのかもしれない。

もしこの仮説が正しいなら、これはキーボードだけの話ではない。

仕事道具も、人間関係も、サービス選びも、人生の多くの選択は、数字だけでは説明できない。

人は性能を選んでいるのではなく、自分が納得できる理由を選んでいる。

そう考えると、「何を選ぶか」よりも、「自分は何に満足を感じる人なのか」を知ることの方が、大切なのかもしれない。


3310Lab 研究ノート No.007